東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星システム講座WEBサイト for ENGLISH
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Earth and Planetary System Science Group,Department of Earth and Planetary Science,Graduate School of Science,The University of Tokyo
メンバー
 
阿部 豊 (Yutaka Abe)
研究分野 惑星システム物理学(惑星進化・惑星大気・惑星気候)
Room 理学部1号館W棟703号室
Tel 03-5841-4629
Fax 03-5841-8318
Email ayutaka (@eps.s.u-tokyo.ac.jp)
   


研究内容

宇宙において地球のような天体が普遍的な存在であるのか、あるいは特殊な存在であるのか。このような問いに答えることを究極の目標にして、地球や惑星の様々な性質・特徴がいかに生成・維持されているか、物理学を基礎にした主に理論的な手法を用いて検討している。現在、大学院生諸君と協力して研究している領域はおよそ惑星気候学、惑星初期進化、惑星テクトニクスのおおむね3つの分野に大別できる。


(1)惑星気候学

惑星表層の環境は地質学的時間スケールではどれくらい安定なのであろうか?例えば,火星の気候はその進化史を通じて大きく変化したであろうことは明らかである。他の惑星の表層環境も同様に変動し得るのであろうか。地球環境はこれから火星的環境や金星的環境に向かって変化していくのであろうか。これらの問題に対してアプローチするため、惑星環境を安定化する、あるいは不安定化する過程について、主に物理気候学の視点から検討を進めている。この問題に関連した最近の研究としては、原始火星大気の水循環、天体衝突による大気はぎ取り、などがあげられる。
図
図 過去、火星に温暖湿潤な環境があった事を示す火星表面の樹枝状河川地形
 

 

(2)惑星初期進化

原始大気・海洋の物理的・化学的性質は惑星表層環境の初期条件を与えている。また惑星内部に形成過程で生成されるマグマオーシャンの進化問題とも密接に関係しており、これは惑星テクトニクスの初期条件ともなる。この問題に関連した最近の研究としては、原始大気の散逸、惑星形成過程での混合原始大気の形成、月の形成過程および形成直後の化学進化、月の地殻の2分性の起源の研究などがある。
 

(3)惑星テクトニクス

プレートテクトニクスは地球環境の重要な規定要因である。しかし、プレートテクトニクスは地球に特異的であって他の惑星では知られていない。プレートテクトニクスでは「沈み込み」が重要問題であると考え、特にマントル物質の粘弾性的な挙動に注目して検討を進めている。
 

以下では最近私自身が進めている研究について紹介するが、上記の3分野を含めて必ずしも対象が限定されているわけではなく、状況・必要に応じて対象は変化している。
 

・生存可能惑星の条件と惑星水循環

水は生物が惑星上に生存できるために重要な要件である.最近,太陽系外にも多くの惑星が発見されてきた(系外惑星).まだ地球型惑星は発見されていないが,これもたくさんあるであろう.このうちでどれほどの天体が水を表面に持てるか興味深い.惑星表面に水が存在する条件は,従来は全惑星表面上で年平均した日射を用いて検討されてきた.しかし,同じ年平均日射であっても年平均気温や惑星規模の水の相状態が同じとなるわけでない.軌道離心率,自転軸の傾きは日射の季節変化を変え,平均温度に影響する.自転軸のわずかな変化は地球でも氷期間氷期の変動が起こる原因と考えられている.また,従来の研究では地球のようにふんだんに水がある惑星だけが考えられてきた.しかし,砂漠が広く広がっているが,局地的にはふんだんに水があるという場合もありえる.例えば,火星などは過去においてそのような情況にあった可能性が考えられる.様々な軌道要素,様々な表面状態の場合に惑星表面に水が存在できる条件を検討している.従来考えられていたよりも広い条件の下で惑星表面に水は存在できそうである.この研究は,気候システム研究センターとの協力によって進めている.
 

・惑星大気形成論

大気は惑星の表層環境を規定する重要な要素である.地球型惑星の大気は地球を構成した微惑星からの脱ガスで形成されたと考えられている.しかし,最近の惑星形成論に基づけば,太陽組成の気体も大量に捕獲し,結果として太陽組成気体と微惑星起源の脱ガス気体が混合した大気を持った可能性が高い.しかし,この混合原始大気の性質は十分に理解されていない.そこで,この大気の構造や組成を理論的に推定している.この大気は従来考えられていたよりも水素などの還元的な気体に富むはずで,還元的な大気の形成は生命の起源にも大きな影響を持つことが期待される.
 

・ついでに

ところで、地球では自転軸は現在よりもずっと大きく傾くことはないが、火星では大きく傾くことがあるとされる。これは、地球には月があるが火星には月がないためである。つまり、惑星表面の気候変動の問題は、一見関係がなさそうに見える月形成の問題とも関係している。この辺が地球や惑星を一つのシステムとしてとらえて研究する上での面白みでもある。
 


進学希望者へのメッセージ

宇宙において地球のような天体が普遍的な存在であるのか、あるいは特殊な存在であるのか。このような問いに答えることを究極の目標にして、地球や惑星の様々な性質・特徴がいかに生成・維持されているか、物理学を基礎にした主に理論的な手法を用いて検討している。

固体惑星学的側面と惑星大気・気候学的側面の両面からアプローチしているが、修士課程では何らかの分野の基礎をしっかり身につけることが重要と考えているので、固体惑星学関係か惑星大気・気候学関係のいずれかに集中するように指導している。いずれにせよ物理学的なものの考え方を基本とする。


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