東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻 地球惑星システム講座WEBサイト for ENGLISH
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Earth and Planetary System Science Group,Department of Earth and Planetary Science,Graduate School of Science,The University of Tokyo
メンバー
 
多田 隆治 (Ryuji Tada)
研究分野 地球システム変動学・古海洋学・
古気候学・堆積学
Room 理学部1号館734号室
Tel 03-5841-4523
Fax 03-5841-8318
Email ryuji (@eps.s.u-tokyo.ac.jp)
URL http://www-sys.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~tada/


研究内容

私の研究の主たる興味は、地質記録を解析し、過去の地球環境変動を復元する事を通じて、気候・環境変動のダイナミックスおよびその安定化メカニズムを理解する事にあります。それは、人為的な地球環境危機を目前にして、今こそ人類は地球の歴史に学ぶ必要があると考えるからです。例えば、地球温暖化が近未来の気候・環境に及ぼす影響を適切に評価する上で、過去の環境変動の復元は重要な情報を与えてくれます。こうして得られた過去の変動の原因を正しく理解するためには、モデルを作り、シミュレーションにより検証する事が重要です。私は、特に気候安定性とその維持メカニズムに興味を持っています。そして、最終氷期に数百年〜数千年周期で繰り返した気候変動が、どのような条件で増幅、伝播されるかを明らかにし、同様な変動が近未来に起こる可能性を評価したいと考えています。
図1
図:グリーンランド氷床から得られた古気候記録は、人類が文明を開花させた過去1万年間(=後氷期)が、過去15万年の中では例外的に安定な気候期だった事、一方、今から8万〜2万年前にかけての氷期(北半球が厚い氷床に覆われた時代)には、数百〜数千年スケールで急激な気候変動が繰り返した事、一つ前の間氷期(約12万年前)にも急激な気候変動が繰り返した可能性がある事を示した。
 
私のグループは、日本海の古海洋環境変動の研究を通じて、最終氷期(1.8〜 7.5万年前)に数百年〜数千年スケールの急激なアジアモンスーン変動があった事を明らかにしました。そして、その現象が、偏西風経路の振動を通じてグリーンランドの気候変動とリンクしていた事を示しました。そして、こうした変動の空間パターンを明らかにすると共に、それが間氷期に起こる可能性を解明しようと、統合国際深海掘削計画(IODP)に積極的に参加し、日本海、北太平洋、インド洋などから採取された堆積物を使った研究を進めています。

私はまた、海峡の開閉や山脈の形成と気候変動のリンケージに興味を持ち、 「インド亜大陸の衝突に伴うヒマラヤ、チベットの隆起が、アジアモンスーンの成立、発達にどの様な影響を与えたか」に関する国際研究プロジェクトを、中国、韓国、ロシアなどのアジア諸国の研究者と協力して、昨年から開始した。特に、ヒマラヤの最終的隆起が、複数の準安定な偏西風蛇行経路を作り出し、それが数百〜数千年周期で繰り返す気候変動を生み出したのではないかと考え、その検証を行おうと計画しています。
 
更に、田近さんが中心となって進める、約23億年前に起こったと考えられ全球凍結現象と、光合成バクテリアの出現、大気酸素の増加の関係を解明する研究に参加し、カナダや南アフリカで野外調査を行っています。

図:田近さんの雪玉地球プロジェクトにおけるカナダ、ヒューロ二アン調査で、全球凍結時の堆積物と考 えられるGowganda 層模式地での記念写真。中央で凍えているのはスノーボール仮説提唱者のカーシュビンク教授

 


進学希望者へのメッセージ

現在、人類は、自らが作り出した地球環境危機に直面していますが、数年〜数十年と言った短期的視点に立った対応策では、本質的問題は解決しません。問題の本質的解決には、地球を一つのシステムとしてとらえ、その中に地球表層サブシステムの挙動を位置づける事が必要です。そのためには、地球表層サブシステムのダイナミクス(気候変動や海洋循環,生物地球化学的循環など)が、地球史を通じて固体地球サブシステムのダイナミクス(マントルプリュームそれに伴う大陸の成長や集合離散など)や地球外からの擾乱(太陽活動、小天体の衝突など)とどのように絡み合いながら変動・進化してきたかを理解する事が重要です。

こうした地球システムのダイナミックスを理解するためには、a)野外調査や海洋底堆積物掘削を通じて地質記録を採取、編集する、b)採取した試料の分析、解析を通じて地質記録を解読し、過去のシステム変動を復元する、c)その結果を基に、物質循環モデルや気候モデルなどを用いてシステム変動のメカニズムを検討する、という一連のプロセスを有機的に関係させて行う事が必要であると私達(多田、田近、横山)は考えます。そこで、私達は、表層環境セミナーを共催し、私が主にa)、横山さんが主にb)、田近さんが主にc)をカバーしつつ、協力して教育、指導を行っています。


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