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進化する地球惑星システム

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これまでの地球惑星科学の限界をうち破り,総合的に地球と惑星の進化と現象を理解しよう.太陽系の誕生から現代の地球環境問題まで,あらゆる時間スケール・空間スケールの対象をシステム的にとらえる新しい学問への入門書.

東京大学出版会・四六判・縦組み・ソフトカバー・256頁 税込 2,625円(本体 2,500円) ISBN 4-13-063703-7

  1. 地球惑星システム科学とは何か          … 阿部・田近・茅根

    地球や惑星系全体で起こるさまざまな現象を,大気や固体地球・生命圏など いくつかのサブシステム間の相互作用として見るのが,システム的な見方である.

  2. 太陽系の原物質とその進化            … 永原 裕子

    宇宙と地球と生命はその進化の過程でどのように関わってきたのだろうか. 太陽系の原材料とその進化について,実証的にみてみよう.

  3. 地球惑星システムの誕生             … 阿部 豊

    地球は液体の水が存在する条件を,その表面で満たしている珍しい天体である. 水惑星が形成される条件,そして地球と金星・火星との違いは?

  4. 冷却する地球の進化               … 栗田 敬

    地球内部が四五億年の間にたどってきた進化とは,内部に蓄えられた熱をいかに 外部に捨てるのか?という「冷却の歴史」であると言うことができる.

  5. スノーボールアースー凍り付いた地球       … 田近 英一

    原生代,地球表面の大部分が凍りつくような極端な寒冷化が何度も生じたかも しれない.生命はどうやってその過酷な環境を生き抜いたのだろうか?

  6. カンブリア紀における生物の爆発的進化の謎    … ジョセフ カーシュビンク

    原生代最後の大氷河期の後,まもなくして生物の爆発的な多様化が生じた. なぜこの時期に生物の大進化が生じたのだろうか.

  7. 二億年の地球のリズム              … 浜野 洋三

    最近二億年の地球表層環境の変動,マントルの活動,磁場の変動は,相関した 時間変化を示す.地球の中心から表層に至る相互作用がつくる変動のリズム.

  8. 天体衝突と地球システム変動           … 多田 隆治

    6500万年前,一億年以上続いていた恐竜の時代は,地球外天体の衝突で突然 終わりを告げた.地球史の中で繰り返された生物大量絶滅と天体衝突の関係は?

  9. アイスエイジの気候変動ー氷期と間氷期の繰り返し … 横山 祐典

    人類が地球に出現して以来,200万年間,地球の気候は今より寒冷な氷期と 今より温暖な間氷期との間を行ったりきたりしてきた.

  10. 地球の水とアジアモンスーン          … 松本 淳 雨季・乾季や風向の季節的交代が顕著で,アジアの人々の生活に密接に関わる モンスーン気候.これは大気・陸・海の相互作用の産物である.

  11. 地球温暖化に対する生命圏の応答        … 茅根 創 地球温暖化が生態系に大規模な影響を与えた最初の例である,サンゴ礁の白化. 白化から,地球システムと生命圏の関係について,何を学べるだろうか.

  12. 進化する地球惑星システム科学         … 茅根・田近・阿部 地球惑星システム科学は,これから発展すべき新しい学問である.これらを システム学として集大成する研究が読者の中から現れることを期待したい.

コラム

  • 太陽系と地球のたどった歴史              … 橘 省吾
  • プレートテクトニクス                 … 阿部 豊
  • 地球大気の進化                    … 田近 英一
  • 地球惑星システムと同位体               … 橘 省吾

■ 書評

  • 本書は縦書きである.そしてソフトカバーとなれば一般向きの書籍と分類されるだろう.著者らはそれを望んでいる.しかし内容は現在の地球や惑星の科学が到達した新しい視点を存分に盛り込んだ,新世代の教科書なのだと思う.(鳥海 光弘)

    — 地学雑誌より抜粋

  • 現在第一線で活躍している各教官が意気込みをもってそれぞれの対象についての現在の理解の仕方,トピックス,問題点などについて執筆しているので,何もまして書かれた内容の活きのよさが本書の大きな目玉となっている.(兼岡 一郎)

    — 日本地球化学会ニュースより抜粋

  • 本書で述べられていることが本当に確かなのか?と疑問が湧いたら,本書のねらいの一部は達成されたといえるのではないだろうか.なぜならこの本は地球惑星科学の魅力を若い世代にアピールすると同時に,明日の研究への触媒となることを意図して編まれたに違いないからである.(倉本 圭)

    — 日本惑星科学会誌・遊星人より抜粋